ヴィンテージ編み機を巧みに操る南フランスのカットソー専業ブランド

南フランス生まれのカットソー専業ブランド「MAISON CORNICHON（メゾンコルニション）」。フランスに4台しか現存しない1950年代のドイツ製の編み機を保有しており、専門の職人が大切にメンテナンスしながら稼働させています。40番手もしくは28番手の有機栽培の綿糸のみを使用し、希少なヴィンテージ編み機でゆっくりと編み上げることで作り出されるヘビーオンス生地は、しっかりとした厚みがあるのに柔らかくて伸縮性に優れていることが特徴です。比類なき品質を誇るこの生地は現代の編み機では再現不可能であり、優しく包まれるような着心地を体感することができます。デザイン面では、時代を超えて愛されるクラシックデザインを基本としながらも程よくゆとりのあるフィッティングを採用するなどして時代性が加味されており、フランスブランドらしいほんのりエスプリの効いた仕上がりになっています。完全なるフランス製であることに誇りと情熱を持ち、糸から最終製品までの全工程を少数精鋭の職人が行っています。

ユルさ加減が絶妙です。着こなしを品良く飾る新型カットソー「NEW CLASSIC」

数年前に日本に上陸したカットソー専業ブランド、メゾンコルニション。聞いたことのないブランドだと思いますが、カットソーの本場フランスで60年以上続く老舗ファクトリーを背景に持つだけあってクオリティがすこぶる高く、口コミで良さが広まり、日本でもじわじわと知名度が上がってきています。少し前に某有名セレクトショップで私物を購入し、その着心地の良さに魅了され当店でも扱うことにしました。今では希少となった純粋無垢なフランス製で、品質の高さはもとよりデザインも小洒落ており、コストパフォーマンスも優秀なので要注目です。イタリアブランドのカットソーのような一目で伝わる高級感はありませんが、着れば着るほど良さが分かってくるフランスブランドらしいシンプルで質の良いカットソーです。

ご紹介するのは、メゾンコルニションの永世定番として支持されているCLASSIC（クラシック）の後継モデルとして登場した「NEW CLASSIC（ニュークラシック）」になります。両者の違いは“フィッティング”です。中庸であることを突き詰めたスタンダードフィットのCLASSICに対し、NEW CLASSICはトレンドを加味した気持ちユルめのフィッティングを採用しています。スタンダードフィットに比べ“ゆとりのある作り”になっていますが、肩幅や身幅のゆとり具合、着丈の長さなど、すべて緻密に計算されているため、ゆったりしたシルエットにありがちなだらしなさは一切ありません。ユルいのに上品に見え、大人らしさをきっちりキープできるので、ゆったりしたシルエットに抵抗がある方にも気に入って頂けると思います。本当にちょうどいいユルさ加減ですよ。

一見なんてことのないシンプルな半袖カットソーですが、実物を手にすると（袖を通すと）巷に出回っている数千円のカットソーとはまったくの別物であることをお分かり頂けます。まずはじめに驚かされるのは“着心地の良さ”です。1950年代のヴィンテージ編み機でゆっくりと編み上げることで作り出されるヘビーオンス生地は、空気をたくさん含んでいるため肉厚でありながら驚くほど柔らかく、優しく包まれるような極上の着心地を体感することができます。通常のフライス編みの倍近い伸縮性があるので、びっくりするくらいラクチンです。生地に厚みがあるので透けにくく（汗ジミになりにくく）、ちょっとやそっとでは型崩れしないことも特徴です。デザイナーのティボー・ネグラ氏いわく、ジーンズ（デニム）のようなカットソー生地だそうです。まったくもってその通りだと思います。

イタリアブランドやアメリカブランドとはどこか異なる、フランスブランドならではのエスプリが漂っているところもポイントです。これには、詰まりすぎないネックラインや、やや広めにとられたネックリブ、ラフさを中和してきれいに見せる袖口のリブといった細かいディテールや、ベーシックなのにどこか品のあるカラーリングなどが関係しているものと思われます。ちょっぴり小粋なフランス生まれのカットソーは、カジュアルにもモードにも振れるバツグンの着回し力を誇り、どんなコーディネートにも違和感なく溶け込んで他のアイテムの魅力を引き立ててくれます。シーズンを問わずデイリーに使える究極のベーシックアイテムなので、ワードローブの定番として手放せなくなること間違いなし。私も色違いで買い揃えて愛用している品なので自信を持ってお勧めします。

中毒性のある着心地です。40番手単糸で編まれた7オンスコットンフライス

メゾンコルニションのカットソーの魅力は、一も二もなく生地にあります。メゾンコルニションを手掛けているフランス南西部ドルドーニュ地方の老舗ファクトリーでは、フランスに4台しか現存しない1950年代のドイツ製の編み機を保有しており、専門の職人が大切にメンテナンスしながら稼働させています。この希少なヴィンテージ編み機は動作が遅く生産効率が悪い反面、空気をたくさん含みながら肉厚の生地を編むことができます。メゾンコルニションではこの編み機の持ち味を最大限に引き出すため、厳選された有機栽培のコットン素材から紡がれた40番手糸を用い、糸に余計な負荷がかからない（機械が繊維を傷めない）ようにゆっくりとフライス編み（リブ編み）にしています。こうすることで柔らかさや素材本来の優しい風合いを損なうことなく、優れた伸縮性と耐久性を実現しています。この生地によってもたらされる着心地は、まさに異次元の心地良さ。しっかりとした厚みがあるのに横方向へぐい～んと伸びるのでストレスフリーです。中毒性のある着心地とでも言えばいいでしょうか、いちど着ると病み付きになること請け合いです。

最近流行りのヘビーオンスカットソーですが、巷に出回っているものとはまったくの別物です。ヘビーオンスカットソーの代名詞であるチャンピオンのT1011と同じ「7オンス（195グラム）」でありながら、厚ぼったさがまったくなく、優しく包まれるような着心地を体感することができます。こんなにも柔らかくて着心地のいいヘビーオンスカットソーは他にはないと断言できます。ヴィンテージ編み機だからこそ作り得る、現代の編み機では再現不可能な素晴らしい生地です。